調査レポート

ぶぎんレポート

ぶぎんレポート 2024年4月号
No.286
ぶぎんレポート 2024年4月号
ぶぎん経営者クラブ会員限定

目次

企業インタビュー
大手外食チェーンを主要顧客にする 食品に特化した物流会社
北王流通株式会社 代表取締役社長 黒田 英則 氏
家電製品、衣料品、日用品、書籍など、ありとあらゆるものが扱われるようになったネット通販─。どんどん利便性が高まり、ユーザーの数が増えていくなかで、その存在なくしてネット通販が成立しえないものが、人の手を介した「物流」である。ネット社会を支えるインフラ産業といってもいい。その物流において食品の「B toB」に特化した物流事業を展開しているのが北王流通だ。埼玉と神奈川、そして千葉県内に合計7つの保管センターを有し、独自の物流や輸配送の管理システムも構築してきた。そして、自社保有の約200台のトラックに加えて、協力会社のトラック約1,200台が、同社の共同配送ルートを1年・365日走り続けている。具体的な事業の内容から今後の展望まで、3代目社長の黒田英則氏に話を聞く。
調査レポート
川口そごう閉店に関する一考察
―人口増加地域で、駅前デパートは何故店を閉めたのか
ぶぎん地域経済研究所 調査事業部長兼上席研究員  藤坂 浩司 
2021年2月末に閉店した「旧川口そごう」(以下、川口そごう)について、約2年半が経過した2023年8月、施設を所有、管理する株式会社そごう・西武が所有権を三井不動産に売却する契約を締結した。三井不動産は建替えを行わずに、建物を改修して新たに商業施設として開業する計画を示している。本稿では川口そごうの閉店について考察をする。川口市は埼玉県最南部に位置し都心部へのアクセスに優れ、人口の増加が続いている。川口そごうは、こうした地勢的環境に恵まれ、さらにJR 川口駅前の好立地にあり利便性に優れていた。地方都市に見られる人口減少に伴う百貨店の閉店や撤退とは異なるもので、考察を通じて閉店の背景について検証する。
海外視察レポート
ぶぎん地域経済研究所 海外視察
台湾経済視察ツアー報告
ぶぎん地域経済研究所は、2024年2月27日-3月1日まで3泊4日の日程で、台湾(台北、高雄、新竹ほか)を訪ねました。今視察は、半導体を軸にエレクトロニクス産業で世界的に躍進を続ける台湾を訪問し、新竹サイエンスパークをはじめ現地の最新技術動向などを巡る目的で企画しました。視察には事務局を含めて17名が参加し、企業視察2社(日系企業、現地企業各1社)をはじめ、世界的な研究開発機関として知られる財団法人工業技術研究院(ITRI)、世界最大の半導体ファウンドリ企業、台湾積体電路製造(TSMC)の関連施設で、同社の歴史を知ることができるTSMC台積創新館を見学しました。
寄稿
気候変動と生物多様性について
―サステナビリティへの取組み
武蔵野銀行総合企画部サステナビリティ推進室
2024年2月22日に東京株式市場では日経平均株価終値が1989年12月末のバブル期の最高値を更新しました。バブル期当時をあらためて振り返って現在と比較すると株価の水準は同じものの様々な面で経済環境の違いがありますが、その違いの大きな1つが「サステナビリティ」に関する認識・関心ではないでしょうか。バブル期には、とにかくがむしゃらに働いて好景気を謳歌して将来のことなど気にせず刹那的に「今が一番大事」を追い求めていた時代であったと思います。ところが現在は将来に向けて持続可能な地球環境を目指していく取組みが進んでいます。「持続可能な地球環境」というと何だか難しく感じられますが、それよりも次世代に何を残せるかに価値のウエイトが移りつつあるといった方がしっくりとくるでしょうか。
経済コラム
chapter 67
A I 時代に私たちはどう生きるか
ぶぎん地域経済研究所 専務取締役/チーフエコノミスト 土田 浩
昨年、ChatGPTが大旋風を巻き起こした。文章で質問や依頼をすると、驚くほど自然な言葉づかいで瞬時に丁寧な答えが返ってくる、対話型のAIだ。一部の企業では、ChatGPTを含む生成AIの本格的な有効活用を模索する動きが進んでいる。AI普及後の世界では、画期的な利便性向上が図られる一方で、警戒すべき事象も想定されている。とはいえ、AIの発展を止めることは不可能である。その中で、いかに人間とAIとの共存のあり方を探るか。人間として、日々納得感のある仕事をし、満足感の得られる生活をしていくか。ますます人間の人間たる由縁が求められる時代になると言えるだろう。
埼玉の隠れた銘品百選㊺
金笛木桶バウム
笛木醤油株式会社
寛政元年創業、二百余年の伝統を受け継ぐ醤油メーカーが、バウムクーヘンの製造を始めた。和菓子の隠し味として醤油を使うことはあるが、洋菓子に使うのは斬新的だ。醤油の国内消費量が年々減少している中での、新たな試みであった。ラインナップには、しょうゆ、プレーンのほか、季節に合わせて甘酒、いちご、狭山茶、米粉、いもなどが並ぶ。醤油とバウムクーヘンの製造工程は、川島町の「金笛しょうゆパーク」で見学できる。
シリーズ 中小企業の経営と営業の戦略
第45回講座
中小企業の3 つの強み
ランチェスター戦略コンサルタント 福永 雅文 氏
大企業と中小企業とでは経営も営業もやり方が違う。小が大に勝つ原理原則と実務として長く中小企業の戦略づくりに活かされてきた「ランチェスター戦略」の専門家で埼玉県の企業の経営相談の実績も豊富なコンサルタント福永雅文氏が中小企業の経営と営業の戦略を事例も交えて解説していく。
ぶぎん海外駐在員通信④
多民族国家シンガポールのローカルフード紹介
― ちょっとマイナー編
武蔵野銀行シンガポール駐在員事務所 所長  岩崎 克士
シンガポールは小さな国土に中華系、マレー系、インド系をはじめ多くの民族が共存する多民族国家です。イギリスの海峡植民地であった歴史も加わり、世界中のあらゆる地域から様々なものが集まってきました。「食」もその代表です。シンガポールのローカルフードと言えば、チキンライス、バクテー、チリクラブやラクサなどが有名ですが、それぞれいろいろなルーツを持っています。今回はこれらの定番料理とは少し違うものの、駐在員ならでは(かどうかは分かりませんが)の目線で、様々なルーツを持ち、ちょっとマイナーながらとにかく美味しいおすすめローカルフードを紹介したいと思います。