調査レポート

ぶぎんレポート

ぶぎんレポート 2023年6月号
No.277
ぶぎんレポート 2023年6月号
ぶぎん経営者クラブ会員限定

目次

企業インタビュー
65年地域のインフラを支える砕石会社
光兆産業 株式会社 代表取締役社長 渡瀬 稔 氏
埼玉県の西部に位置する小川町。1300年もの歴史を誇る小川和紙をはじめ、酒造や建具などの伝統産業で昔から栄えて、「武蔵の小京都」と呼ばれることもある。また、周囲を外秩父の山々に囲まれており、そこからは良質な砂岩が採掘され、「砕石」として製品化が行われている。その砕石は、アスファルト舗装の路盤材や建物の基礎などに使われ、社会生活を支える欠くことのできない建設資材となっている。そして1958年に設立された光兆産業は、小川町に古寺砕石工場を持ち、さいたま市や戸田市など県南部の各都市へのアクセスがよい地の利を活かしながら、砕石事業を続けてきた。県内でも数が少ない砕石を営む会社の設立に至った経緯、具体的な砕石事業の内容、そして砕石事業を取り巻く外部環境の変化と、それへの対応などを渡瀬稔社長に聞く。
調査レポート
日本の賃金 ー なるかデフレ経済からの脱却
ぶぎん地域経済研究所 専務取締役 チーフエコノミスト 土田 浩
日本では、二十年余りにわたって成長力に乏しいデフレ経済が続いてきた。「物価は経済の体温計」と言われるが、物価と表裏一体にあるのが賃金の動きである。賃金についても、物価と同様に二十年余りにわたって停滞した状況が続いてきた。そうした中で昨今、エネルギー・食糧などの輸入物価の高騰を起点とした物価の上昇と、人手不足の深刻化を背景に、賃金を引き上げる機運が高まっている。本稿では、賃金を巡る過去の経緯を振り返ったあと、今年の春闘を中心とした最近の賃金を巡る動きを概観し、今後の日本経済に資す賃金のあり方を考えることとする。
TOPIX
中小企業のDX 戦略
ぶぎん地域経済研究所 調査事業部長兼上席研究員 藤坂 浩司
デジタル社会の実現に向けた動きが国内で加速している。中でもDX(デジタル・トランスフォー メーション)と呼ばれるIT技術を活用して、新たなビジネスモデルや市場を生み出す取組みが進んでいる。DXへの対応については、現在、大手企業が先行する一方で、中小企業は遅れているとの指摘が多い。本レポートでは、中小企業で何故、DXが進まないのかその背景に触れながら、中小企業におけるデジタル化の方策について説明する。
FOCUS
社会生活基本調査からみる
コロナ禍における生活時間・行動の変化(下)
ぶぎん地域経済研究所 調査事業部主任研究員 加藤 達朗
2021年に行われた総務省「社会生活基本調査」の結果をもとに、これまで2回にわたりコロナ禍における1日の生活時間の配分の変化についてみてきた。最終回となる今号では、余暇時間におけるさまざまなジャンルの活動について、この1年間に行動した人の割合(行動者率)の変化を中心に考察する。
環境研究の最前線
県環境科学国際センター研究員に聞く ⑥
熱中症予防のためのIoT 暑さ指数計の開発と活用
埼玉県環境科学国際センター 温暖化対策担当 大和 広明
埼玉県環境科学国際センターは、「試験研究」「情報発信」「国際貢献」「環境学習」を4つの柱とする環境科学の総合的中核機関です。また、令和4年度からは研究成果の社会実装化を目指した取り組みも進めています。本連載では、当センターで行われている社会実装に繋がる6つの研究を紹介します。夏の暑さが厳しい埼玉県では熱中症による救急搬送者数も多くなっています。埼玉県内の2022年の搬送者数は、全国で東京都に次ぐ第2位であり、熱中症対策の重要性が年々高まっています。そこで本稿では、当センターが開発したIoT暑さ指数計を活用した熱中症予防対策について紹介します。
経済コラム
chapter 58
使ってみましたか? チャットGPT
ぶぎん地域経済研究所 専務取締役/チーフエコノミスト 土田 浩
「チャットGPT」という目新しい単語が新聞・雑誌を賑わしている。文章で質問や依頼をすると、驚くほど自然な言葉づかいで瞬時に丁寧な答えが返ってくる、対話型のAIだ。昨年11月に米国・オープンAI社によって公開されて以来、世界中で利用者が爆発的に増加している。一方で、こうした生成系AIの使用法を巡っては、さまざまな議論が巻き起こっている。大学におけるレポート・学位論文への使用の可否、サイバー攻撃プログラムやフェイクニュースへの悪用リスクなどである。それでは、一人のビジネスパーソンとして、あるいは一企業として、こうした革命的な技術にどう向き合うのがよいのだろうか?
埼玉の隠れた銘品百選㊱
アクリルグローブ
株式会社 長谷川製作所
街路灯のカバーといえば、ガラス製をイメージする人が多いと思う。ところが、これはアクリル樹脂製だ。アクリルとは、光の透過率がガラスよりも高く、割れにくいため、水族館の水槽などに使われている。加えて重さはガラスの4分の1程度。地震などでも破片が飛び散る心配がない。その製法は、当社独自のものだ。射出成形した中間製品を再加熱し、中に空気を流し込むことで風船のように膨らませる(ブロー成形)。ペットボトルなども同じ製法だが、アクリル樹脂をブロー成形できるのは当社だけの技術だ。
ぶぎん税務相談
第58回講座
教育資金の贈与について 3
今月は教育資金を一括で贈与した場合の贈与税の非課税制度についてのお尋ねです。親子間などで必要な都度支払われる教育資金は、贈与税が非課税とされています。しかし、教育については将来にわたり多額な資金が必要であり、「一括贈与」のニーズも高いので、世代間の資産移転の促進による教育費の早期確保を期待してこの制度が創設されました。今回は、今年3月の税制改正の内容も含めてご説明します。
小が大に勝つ ランチェスター戦略
第36回講座
ライバルとの打ち手の繰り出し合い 陽動戦と誘導戦
ランチェスター戦略コンサルタント 福永 雅文 氏
大きな会社は有利で小さな会社は不利である。しかし、戦略次第で小が大に勝つ可能性は見いだせる。この「弱者逆転」するための理論と実務の体系が「ランチェスター戦略」である。多くの企業がこれを学び、自社の戦略づくりに活用してきたことから、わが国において競争戦略・販売戦略のバイブルといわれる。埼玉県の企業の経営相談の実績も豊富なランチェスター戦略コンサルタント福永雅文氏が実際のコンサル事例で中小企業向けに解説していく。
中堅・中小企業のための広報PR⑭
広報をもっと身近に
「PR会社」とは? 広告代理店との違いと活用法
株式会社 アネティ 代表取締役 仲村 明子 氏
インターネットやデジタルデバイスの発達により、マスコミを経由する方法以外にも、自社メディアやSNSを通じて直接広報PRができる時代になりました。広報PRは、ステークホルダーの共感や信頼を得て、売上拡大や人材獲得につなげる大変有効な活動です。このコラムでは、中堅・中小企業の皆さまが広報PRを身近に感じ、すぐにでも着手していただけるよう、考え方や方法についてわかりやすく解説していきます。