調査レポート

ぶぎんレポート

ぶぎんレポート 2022年1月号
No.261
ぶぎんレポート 2022年1月号
ぶぎん経営者クラブ会員限定

目次

企業インタビュー
クリーンエネルギーの切り札「水素」の時代 一歩先行く高い技術力を持った配管工事会社
汎髙圧工業 株式会社 代表取締役  今井 孝志 氏
鉄鋼、化学、自動車、電機、食品など幅広い業界で利用されている「産業ガス」は、高圧のガス容器に詰められていることが多いことから「高圧ガス」とも呼ばれる。その高圧ガスの配管工事や取り扱い器具などの製造を行っているのが、蕨市に本社工場を構えて2021 年に創業60 周年を迎えた汎髙圧工業だ。高圧ガスを通す配管の工事だけに、配管の溶接は高い精度が要求される。特に毒性の高いガスの配管工事では、ガス漏れの事故があってはならず、より精細な仕事が求められ、それらに応えることによってお客様との間で厚い信頼関係を構築してきた。そしていまでは、クリーンエネルギーの切り札として注目される水素を燃料電池車に充填する、水素ステーションの配管工事にも携わるようになっている。創業からこれまでの経緯や自社が持つ強み、今後の進路などについて今井孝志社長にお話を伺う。
ぶぎん経済講演会講演録
2022 年の 世界はどうなるか、日本はどうなるか
コロナは新たな世界をもたらすか
岡三証券グローバル・リサーチ・センター理事長 エグゼクティブエコノミスト 高田 創 氏
アベノミクスの下で、日本は漸く普通の資産形成ができる時代になりました。そして、令和の時代は、投資家的側面も有した日本モデルの成長で「春の訪れ」が期待されます。日本モデルのキーワードは、「日本の総合商社化」です。日本の経常収支をみると、かつての貿易黒字はほとんど消え、これに代わって、海外投資のリターンである第一次所得収支が黒字の大半を占めるようになりました。日本は資産運用立国になった訳です。そして、国民がその果実を獲得するためには、利払いや賃金という形以上に、株式配当の形で受け取るという経路がいちばん有効だと考えられます。つまり、国民一億総株主という発想が必要になったということなのです。
調査レポート
お金の地産地消で地域経済を活性化する 地域通貨の動向と展望
ぶぎん地域経済研究所 調査事業部主任研究員 加藤 達朗
スマートフォンやキャッシュレス決済などの普及を受け、全国の企業や団体、自治体で独自の地域通貨を流通させる動きが高まっている。地域通貨を決済手段としてだけでなく、環境や健康、スポーツなどを通じた地域活性化や関係性強化に活用するケースも見られる。また、新型コロナウイルスの感染拡大で非接触型決済へのニーズが拡大していることも大きな追い風となっている。そこで本稿では、こうした地域通貨の広がりを踏まえ、その背景やこれまでの事例、今後の地域通貨の展望などについてまとめた。
埼玉産業歴史探訪
第九回
「自動車」上
ぶぎん地域経済研究所 調査事業部長兼主席研究員 藤坂 浩司
産業の歴史シリーズ第9 回は「自動車産業」を取上げる。自動車産業は、明治時代以降、わが国の工業発展を支えた産業として成長し、現在も重要な国の基幹産業である。埼玉県は歴史的にその一翼を担ってきた地域として知られる。本稿では自動車産業に関わる歴史について、完成車メーカーを事例に2 回に分けて紹介する。第1 回は商用車の歴史について紐解いてみたい。
経済コラム
chapter 42
リーマンショック後の為替円高と日本経済
ぶぎん地域経済研究所 専務取締役/チーフエコノミスト 土田 浩
前号では、第二次安倍政権発足直後の2013 年頃、日本経済が急速に息を吹き返し、アベノミクスが熱狂的に支持された話をした。なぜこのときアベノミクスが効果を発揮したのか? その背景を探るには、2008 年のリーマンショック後の欧米の金融政策運営にまで話を遡らねばならない。リーマンショックは、米国の金融問題に端を発し、世界中に波及した大不況。1929年のニューヨーク株価暴落とその後の世界大恐慌以来の深刻さから、「百年に一度の事態」と言われた。このとき欧米中央銀行が講じたのが、大規模な量的緩和政策であった。
埼玉の隠れた銘品百選⑳
白鷺宝
株式会社 浦和花見
昭和30 年代の浦和の風景。水辺にたたずむ白鷺の姿が麗しかった。その卵(宝)をモチーフに、斬新な和菓子が創作された。白餡に卵を加えて焼き上げ、ミルクでコーティングする。鳥の巣をイメージした包み紙。ふわっと包むのは、今日でも手作業だそうだ。口に含むと、溶けていくような、さらりとした優しい舌ざわり。餡とミルクの味が絶妙に交じり合う。冷凍すれば賞味期限1か月。冷えると表面がパリッとし、中もひんやりして美味しいとの評判も聞こえてくる。
ぶぎん税務相談
第42回講座
住宅取得の特例について 3
新年第1号は前号に引き続きマイホーム取得時の所得税等の特例のうち「特定増改築等住宅借入金等特別控除」ついて説明します。
小が大に勝つ ランチェスター戦略
第20回講座
美容室ZELE ―― 地域×顧客層×商品= No.1
ランチェスター戦略コンサルタント 福永 雅文 氏
コロナの逆風がある業界でもピンチをチャンスに変える会社もある。アイディア勝負の場合もなくはないが、今回取り上げた美容室のゼルネットワーク事業協同組合(埼玉県内に24店の美容室がある)は勝つべくして勝ったといえる。美容師を育て幸せにするとの理念と地域No.1 店づくりの戦略である。同団体に助言しているランチェスター戦略の専門家が、同社の戦略を分析することで、読者の会社への応用のポイントを提示する。
人生100年時代の楽しみ方⑳
日常の中で歩く機会を増やして健康維持
フリーランスライター 篠原 克周 氏
ロンドンビジネススクールの教授、リンダ・グラットンが著した本『LIFE SHIFT― 100 年時代の人生戦略』が注目され、日本でも「人生100 年時代」という考えが知られるようになりました。みなさんは、もし100 歳まで生きるとしたら、どんな人生を送ってみたいですか。ここでは、人生100 年時代を楽しむための、ヒントやアイデアを探ります。第20 回のテーマは「日常の中で歩く機会を増やして健康維持」です。
ちょい旅彩の国
第5回
埼玉県立 自然の博物館
100年前、秩父鉄道株式会社は、長瀞の地に「秩父鑛物植物標本陳列所」を開設しました。秩父地域は地質学黎明期から研究が盛んな地であり、大正時代には全国から研究者や学生が地質巡検に訪れていました。戦後、陳列所は全国に先駆けた自然史系総合博物館「秩父自然科学博物館」として昭和24年に再興されました。自然の博物館はこの活動を受け継ぎ、全国初の県立自然史系総合博物館として昭和56 年にオープン。以来、展示や印刷物、普及事業や学習支援などの活動を通じて、地域の自然に関心を持つ仲間を増やし、地域の未来を担う人材育成にも貢献しています。